今日はACOA大阪の読書会でした。すごく響いた一節があったので紹介します。
「行動を変えることだけに焦点を当てたプログラムは、あなたを夢中にさせるかもしれません。けれどたいていの人は、ステップを順序通り踏んでいかない限り、新しいスキルを実行しようとしても、なかなかうまくいかない、ということに気付きます。なぜなら、スキルにともなう感情の部分が置き去りになっているからです」
「子どもを生きれば大人になれる~インナーアダルトの育て方」クラウディアブラック著 アスク・ヒューマン・ケアより抜粋
私は20代の頃、毎日苦しくて生きづらくて、自傷行為、摂食障害、買い物依存、恋愛や薬への依存などを繰り返していました。苦しくて苦しくて、でも死ねなくて、死ねない自分がまた情けなくて一層自分が嫌いになる、を繰り返し続けていました。
そんな自分を変えたくて、自己啓発系とかスピリチュアルとか、自分の行動を変えるためのプログラムにも色々参加してみました。でも、そこで示される行動(主体的に動こうとか、アサーティブな対応をしよう、とか)は頭で分かっても長続きしません。おまけに「今のありのままの自分を受け止めましょう」とか「感謝しましょう」なんて言われると腹が立ってきて、そんなのしたくもないし、なんでこんなしんどいのに感謝だの受け止めるだのできるわけないだろバーカ、と思っていました。そして、行動を長続きできない自分にも、感謝できない自分にも嫌気がさし、一層自分が嫌いになるわけです。
楽になりたくて色々行動したり、もがいたりするのに、結局また苦しくなって、自分を嫌いになるスパイラルにはまって、死にたい、でも死ねない、余計苦しい、のループでした。
色々なものに出会っていく中で、自分を好きにはなれないけど、楽にはしてくれたのが、自助グループ、カウンセリング、ゲシュタルト療法、シータヒーリング、そのほか感情に焦点を当てる様々な心理療法でした。
それらに共通するのは、自分の中に溜まった感情を出す、それによって明確になった自分の信念(ドラマでいう筋書き、シナリオのようなもの。私の場合「私はダメ人間」「私はみっともない、情けない」「生きている価値がない」など。起きている現実をそのシナリオに基づいて解釈してしまう)を言語化して手放していく、そういうプロセスだったと感じています。
カウンセリングでは自分一人で振り返るにはしんど過ぎることをカウンセラーが足下にライトを当ててくれるような感じで振り返り、進みます。だから、しんどかった過去を思い出して感情が沸き上がっても対処できました。ゲシュタルト療法やシータヒーリングでも、自分の中に出てきた感情を言語化したり、感じていることに焦点を当てていきました。自助グループもそう、なんとなく頭の中でモヤモヤしていることを言葉にしているうちに、スッキリしていない感情が浮かんできて、それを話すうちに「なんかわからないけど楽になった」と感じています。感情そのものを感じたり、感情が自分を通過している時は、私の場合は痛みを感じるので、すごくつらいのですが。だから、安心安全の場、信頼できる場とつながりながら、感情を感じていくことが大事だと思います。
※上記は私自身の経験であって、これらの療法が誰にでも良いと勧めているわけではありません。特に心理療法やセラピー、カウンセリングは、支援者との相性が大きく左右すると感じています。自助グループも個々でカラーが違います。支援者や主催者とじっくり話してみたうえで、受けるかどうか検討することをお勧めします。
感情を出すと、自分が持っている信念が浮かび上がってきます。その信念を、書いて紙に破るでもいい、イメージの中で岩が崩れるようにガラガラに崩すでもいい、「手放す」という作業をします。その上で、自分が手に入れたい、新しい自分の信念(私はいつも安心している、いつも心地よく穏やかだ、人間関係に恵まれて幸せだ、など)を紙に書いたり、イメージしたりして獲得していきます。
これらのプロセスを経て初めて、行動を継続することができやすくなる、ということです。
行動を変えるプログラムは、明日から自分が生まれ変わって、何か凄いものになれるような感覚を与えてくれるし、手っ取り早くて、楽に変化を起こせる気がします。でも、実はそんなに簡単な話ではありません。そうできるなら、誰もがとっくにそうしているでしょう。でも実際には多くの人は「無理、できない」となってしまいます。この経験は無力感につながるので、余計に自己否定を深めてしまう結果にもつながります。
「頭や理屈では、望む結果を手にするために何をすればいいかわかっていても、奥にある感情が新しい行動を邪魔するのです。かつての行動パターンの背景にあった感情の問題に取り組まないと、新しいスキルを手にしても行動がついていきません。ですから、まずは最初の三つのステップ(①過去の喪失を探る②過去と現在をつなげる③取り込んだ信念に挑む)で古い信念や怖れに向き合って、新しい行動やスキルを支えてくれるような新しい信念をつくり出すのです」(同上、クラウディアブラック)
今の日本には、行動を変えることに焦点を当てたセミナーとか研修はたくさんありますが、感情に焦点を当てられる場は少ないと思います。自助グループは、そのうちの一つの場だと思っているので、これからもゆっくり続けていきます。
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