司会:宋先生、確か今日の取材では真美ちゃんを預かってもらってから来られる、と仰っていたような……。今日真美ちゃんがご一緒なのは、ベビーシッターさんの予約がいっぱいで、預かってもらえなかったとかですか? 宋:今日みたいな土曜日は保育園に別料金で預かってもらえるんですけど、予約を取るのを忘れちゃってたんですよ。前もって予約していないと枠が少ないからね。 司会:やっぱり育てながら働くのって難しいですよね。こうして預かってもらえない時もあって。 宋:うちは無認可の保育園に行ってて、融通が利きやすいところなので、助かってる方なんですけどね。 司会:ちょうど先日、ベビーシッターの問題(※)が報道されてましたね。中には、ベビーシッターに長時間預けていると働いてもらえるお金以上に保育料がかかってしまうという人の話も聞きます。働くよりも家にいた方が、お金がかからなかったりすることもあるとか。
(※…埼玉県富士見市のマンションで2歳の男児が遺体で見つかり、26歳のベビーシッターが死体遺棄容疑で逮捕された。子どもを預けた母親は夫と別居中で、生活保護を受けながら週2日ほど夜の仕事をしていたという) 宋:知人から聞いた話やけど、フルタイムで働いている女性が平日の日中にずっとベビーシッターに預けてたら、月25万かかってるって。 司会:ほとんど預かってもらうために働いているような…。 宋:彼女の場合は一回辞めて再就職するよりも、そこで何とか働き続けた方が生涯賃金は高くなる、という選択だったそうですわ。 梅村:細かい話で言えば、それが年金保険料や年金受け取り額にも跳ね返ってきますからね。仮に国民年金だけだったら、40年間納め続けても6万4000円の支給だから(現在)、高齢になってから生活が厳しいですよね。でも、厚生年金に入ったら半分は会社が負担してくれる。そういうことから言えば、日本はまだまだ正社員であり続けるメリットが大きい。若い人からしたら、高い保育料を払ってもその権利を買っているという感じがあるかもしれない。でも今の生活だけを見たら、持ち出しが多くて大変。 宋:働いていた女性が出産育児のために家庭に入ったとして、それは子どものためなんやけど、それが10年20年となると、稼いでないから家庭内での地位が下がっていく。夫の親から見たら、自分の息子の穀潰しみたいに見えてしまう。おまけに夫がDVだったりしたら……。なので、手に職があるっていうのは、女性の地位を保ってくれるんよね。今回のベビーシッター事件に関する街中のインタビューなんか見てたら、色々思うところあったよ。 梅村:どんなインタビューが多かった? 宋:「働いてるお母さんは、子どもを預ける所がない。気持ちは分かる」みたいな反応が多かったかな。他には「私もネットでシッター探した」とか「障害児を預けるのは大変」とか。サービス業で働いていると休みが平日で、土日は保育園が開いてないから仕事を辞めたという人もいた。保育園が見つからないから会社を辞めた人も……。やめざるを得なかったんやろうけど、そうやってその人の自由はどんどん奪われていくんやなと思って、見ててすごく悔しいなと思った。 (つづく)
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