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4割の若者がデートDVを経験―愛と勘違いされる”束縛”の心理

  • 執筆者の写真: kumada rie
    kumada rie
  • 4月9日
  • 読了時間: 5分

若者のデートDVの実態


10代、若者のパートナー間にDVがあると言うと驚かれることがありますが、実はかなり多く発生しています。


朝日新聞2025年3月25日の報道によると、関東、中部、九州地方の中学・高校生を対象としたアンケート調査で次の結果が出ていました。行動の制限(例:「一日の自分の行動をすべて報告させる」)、精神的暴力、経済的暴力(例:「デート費用をいつも払わせる」)、身体的暴力、性的暴力(例:「裸や性行為の写真や動画を撮りたい、あるいは送ってほしいと要求する」)などを調べたもので、


  • 交際相手からの暴力被害を経験した中高生は全体の40.6%

  • 女子は45.8%、男子は35.1%が被害経験あり

  • 加害経験については、全体の26.6%が認める結果に


2017年の民間調査でも10代のカップルの3組に1組にデートDVが起きているという報告があったので、今回たまたま驚くような数字が出た、ということではないと思います。若者たちの置かれている現状は、思っているよりとても深刻だと思います。


嫌がる女性

見落とされがちな精神的暴力(モラルハラスメント)


DVというと身体的暴力のイメージが強いですが、精神的暴力(モラルハラスメント)は認識しづらいものです。モラハラには「愛しているから言っている」などと巧妙に分かりにくくする罠が潜んでいます。


束縛もモラハラの一種です。若者向けにデートDVのお話をさせていただいた時に「束縛は愛されているからだと思ってた」という感想が寄せられたことがあり、「束縛は愛ではない」ことを伝えていくことが大切だと思っています。


束縛の本質とは?


コントロールの背景にあるもの

チャック・スペザーノ博士の著書『傷付くならば、それは「愛」ではない』(発行株式会社ヴォイス)によると、「コントロールしようとするのは、自信や信頼がないときだけ」とあり、束縛する人には次のような心理があると書かれています。


  • 過去に傷ついた経験からの恐れの反応

  • 自分がまた傷つくことを避けたいという不安

  • 愛からではなく、自分を守るためのコントロール


つまり、束縛する人は相手を愛しているからではなく、自分が傷つきたくない、不安になりたくないから相手をコントロールしようとしていると言えます。相手ではなく自分の心を見ており、自分の傷を癒すために相手を利用しているとも言えるかもしれません。


束縛する男性

拒絶への恐れについて

同じ著書の中の「拒絶されたと感じるのは、何かをもらおうとしているときだけ」の項目には、束縛的な関係でよく見られる心理として、

  • 表面上は「してあげている」ふりをしながら、実は相手から認められたい、愛されたいという承認を求めている


ということが書かれています。この承認欲求や見捨てられることへの恐れが、束縛的な行動の原動力になっていることが多いとのことです。「相手に拒まれるのが怖い」という恐れにとらわれるのもこのせいかもしれないし、それが加害的な方向に転じると「俺のことなんてどうでもいいのか」と相手を責めるという形になるのだと考えられます。


私自身の経験から

私は幼いころから「相手に拒否されるのが怖い」としょっちゅう思っていました。親から拒まれたり、否定された経験からきているのだと思います。そのため、相手から認めてほしくて、いつも人間関係に恐々とし、思い通りにいかないと「拒否された、傷ついた」と感じていました。

承認を求めなくなることで力が抜け、人間関係は楽になりましたが、それには本当に長い年月がかかりました。とはいえ、今でもやはり認められたら嬉しいです。

自分がそうだったので、束縛的な関係の背景にある承認欲求や見捨てられることへの恐れがどれほど強いものか、そして、それを乗り越えることがどれほど難しいかを実感しています。

特に恋愛関係は、自分にとって親密な(また、親密になりたい)相手であるだけに、これらの感情が非常に強く出るため本当に大変だったと、振り返って思います。


健全な関係のために

束縛は愛ではなく、自分の不安や恐れから生まれる相手をコントロールしたいという欲求です。健全な関係は信頼を基盤とし、お互いの自由と尊厳を認め合うものです。

束縛を見える形にするには、相手や自分の中にある不安と恐怖に目を向けていく必要がありますが、それ自体が恐怖を伴うことでもあり、簡単なことではありません。


そのために、自助グループを開いています。安心安全に心の中を見ていただけるように、読書会やアートワークなど、様々な形式で開催しています。心に向き合うのは、誰にとっても簡単ではないので、一緒に向き合ってければと思っています。

また、こうした心の動きを言語化できると、自分の置かれている状況を俯瞰できて、とても楽になることがあります。私たちのこころのケア講座はそのために開いています。今年も5月から開催しますので、ぜひ一緒に学んでいけたら嬉しいです。


女性

注意事項:

現在束縛的または暴力的な関係の中にいるかもしれない方へ:関係を終わらせることを考える際は、自分の安全を最優先にしてください。突然別れることを告げると、相手の暴力性を高めてしまうケースもあります。信頼できる人への相談や、必要に応じて専門機関(自治体の女性相談窓口、配偶者暴力相談支援センターなど)のサポートを受けることをおすすめします。無理に一人で解決しようとせず、周囲のサポートを活用してください。




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