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執筆者の写真kumada rie

アサーションがうまくいかない理由とは?トラウマケアと自己肯定感の重要性

アサーションとは、自分の意見や感情を率直かつ適切に表現しながら、相手の権利も尊重するコミュニケーションの方法です。ここではアサーションの詳しい説明は省きますが、私もこころのケア講座でアサーションを紹介しています。


アサーションは非常に素晴らしいコミュニケーションの考え方とスキルですが、なかなかうまくいかない方も多いのではないでしょうか。その理由はさまざまだと思いますが、一つには「私は自分らしくあってよい。感情や考えを表現してよい」という基本的な人権に関することを、頭ではわかっていても心と体で実感できていないことがあるのではないかと、自分の経験から感じています。


コミュニケーションのイラスト

「アサーション入門~自分も相手も大切にする自己表現方法」(平木典子著:講談社現代新書)によると、アサーションの根底には以下の人権の考え方があります:

  • 私たちは、誰もが自分らしくあってよい

  • 人は誰でも自分の気持ちや考え方を表現してよい

  • 人間は過ちや間違いをし、それに責任を取ってよい


自分に自信がなく、他人とのコミュニケーションに問題を抱えていた私は、20代のころアサーションを含め、さまざまなコミュニケーションスキルの勉強会に参加していました。自己啓発系のセミナーにもいろいろ通いました。出かけるたびに「いい話を聞いたな」と思うものの、いざ苦手な相手を前にすると自分の気持ちを表現できなかったり、自分が我慢すればこの場は収まると思ったりして、結局いつものやり方に戻ってしまうことが多かったです。


この頃の私は、上記のような人権の考え方を頭では理解していても、全く腑に落ちていませんでした。それどころか、無意識の部分で「私はこの世に生きる資格がない」「誰からも傷つけられる」と思って生きていたのです。このため、アサーティブになろうとしても居心地の悪さを感じたり、自分を雑に扱う方が楽だと感じていたのだと思います。


トラウマケアを長年続けていると、「私には生きている価値がある」「生きているだけで私は素晴らしい」という感覚、いわゆる自己肯定感のようなものが少しずつ取り戻されていきます。以前の私が抱えていたネガティブな信念が、トラウマケアを通じて、少しずつ剝がれ落ちていきました。


その結果、「自己肯定感を上げよう」と無理に思わなくても自然に自分を認められるようになり、アサーションがうまくいくことが増えたように感じています。また、トラウマケアの中で「事実」と「感情」を分けて捉える練習をしたことも、アサーションに役立ちました。


ハートを抱いた女の子

書籍「子どもを生きれば大人になれる」(クラウディア・ブラック著アスク・ヒューマン・ケア発行)では、スキルを学ぶ前にトラウマケアを行う必要性が指摘されています。トラウマがケアされていない状態では、スキルを実行しようとしても自分自身でストップをかけたり、継続できなかったりするからです。そのため、まずは傷ついた心を丁寧にケアし、感情を出し、そのうえで「私は大切にされてよい人間だ」「私は生きている価値のある人間だ」という感覚を取り戻していくこと、仲間とつながっている実感を得ることなどが重要だと述べられています(あくまで私の解釈です)。


「この依頼は断ってはいけないかも」「私がダメだから無視されたんだ」「失敗するといけないからやめとこう」などの思いが、アサーションを妨げることもあります。そんなときには、上記の人権に立ち戻ることが一つの方法です。それでも心に引っかかりがあるときは、「そう思うのはなぜだろう」と自分の内面を見つめてみるのも一つの手です。(ただし、自分を見つめる作業は、安心安全な環境で行うことをおすすめします。)


私たちが開いている読書会では、上記の「子どもを生きれば大人になれる」を読み合わせながら、トラウマケアについて学んでいます。また、こころのケア講座では、境界線や自他尊重のコミュニケーションについて深く学ぶことができます。


ぜひ私たちと一緒に、こころのケアについて学んでみませんか😊🍀

詳しい内容や参加方法については、随時ホームページやブログで紹介していますのでご覧ください。

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